【エッセイ】ユーフォニアム奏者・今村耀の『音楽とお茶の愉しみ』6

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埼玉県入間市を拠点に幅広く活躍されているユーフォニアム奏者の今村耀さん。

紅茶(お茶)好きでもある今村さんが『音楽とお茶の愉しみ』をテーマに徒然と語るエッセイです。

ごゆるりとお愉しみ下さい。


 

また明日会おうね。楽しみにしてるからね。
ドアを閉めたら真っ暗。部屋の明かりを消して真っ暗。

最後にホールに出かけたのは、3月中旬に滑り込みでレコーディングをしたときだったかな。
舞台に立ち、ひたすら良い音を出した瞑想にも近い演奏。お客様を目の前にして演奏できるのはいつになるのかな。と思っていたのが、こんなにも前になるなんて…

午前3時。目を閉じて真っ暗。

じめっとした空気に重さを感じる梅雨の朝。
今日は山間部から来るお弟子さんの数か月ぶりの対面レッスン。
オンラインレッスンを受講できる環境ではなかったため、どうしているのか心配していましたが、インターフォン越しの挨拶で元気さが伝わってきます。

やっと聞けた今の音。これだけの期間があれば、やっていることとやっていないことでクオリティに差が出てしまうのは当たり前で、もちろんそれは危惧していたのだけれど、逆に磨かれた部分も見えてくるので、素敵になった部分をより美しくするために、さぼっていた内容を詰めていきます。
音出しを聞けばわかるもので、管楽器の演奏で重要な技術のひとつでもあるアタックへのこだわりが以前より弱まっていました。音は出せても、その音をより魅せることのできるニュアンスが失われてしまったら悲しいので、今日はアタック。何が良くなかったかって、トマトや卵を叩き潰してしまったような響きが全体にわたってあらわれること。やわらかな曲だけでなく、元気な曲でも気になるような響き。じゃあどうするの?と言われたら、それはもう、卵もトマト落とさない。優しく置く。ただそれだけ。叩き潰さなければいいだけの話で、そっとやさしく、敏捷性を失わずに続けていくこと。

美しいアタックと遠くまで届くブレスで伸びやかな音。どんよりした天気でも、この場所はちょっと清々しい。

レッスンが終わってお見送り。部屋の明かりをつけて、ドアを開けたらキラキラ。
冷蔵庫には昨日の夜に作って、楽しみにしていた水出し緑茶。

お水500mlに対して茶葉は5g程度いれるのが私の好み。いつも通りお湯で出すのと水出しにするのとではお茶の味がだいぶ違います。この時期は爽やかさも欲しくなるので、自家栽培のペパーミントも一緒に入れてじっくり抽出してみました。ミントは入れる前にパシンと叩いて香りを出すのがポイント。水出しのお茶は抽出に時間がかかるので、前日の夜に冷蔵庫に入れて、翌朝やっと美味しく飲める程度に抽出されます。

緑茶の透き通った味に鼻腔を抜ける清涼感がじめじめとした空気を吹き飛ばしてくれて、レッスン後のちょっとつかれたからだもリフレッシュ。

おおよそ1日以内に飲んでしまわないと味も落ちるので、作り置きはせず絶対に飲む量だけにするのも大切です。

紅茶で作るときも同じ方法ですが、ストレートよりも少しフレーバー感のあるものが好きなので、ドライフルーツを入れたり、レモンの皮を入れるととても美味しく仕上がります。

「いい加減、楽器も洗わないとかな」

じわじわと動きが鈍くなってくるピストン。金管楽器の中って結構汚くて、カビが生えたりもします。
自分もすっきりしたし、楽器にも水くらい通しておいたらいいのかな。

ドアを閉めたら真っ暗。部屋の明かりを消して真っ暗。洗剤と楽器を持って、いざお風呂。

 


今回はいつもより詩的な印象を受けました。素敵。

優雅な時間を過ごしていただけましたでしょうか。次回もお楽しみに。

今村さんのTwitterアカウントはこちらです。
(@euph_yoh)
https://twitter.com/euph_yoh

今村さんには以前にWind Band Pressでインタビューも行っていますのでそちらも合わせてどうぞ。
https://windbandpress.net/12419


※この記事の著作権は今村耀氏に帰属します。


【今村耀 プロフィール】

埼玉県入間市出身。埼玉県立芸術総合高校音楽科卒業。成績優秀者卒業演奏会に出演。日本大学芸術学部を経て尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマ科を修了。大阪国際音楽コンクール部門最高位他、多数受賞。 2015年「ニコニコ超パーティー2015」出演。2016年日本ユーフォニアム・テューバ協会会報にダブルベルユーフォニアムの演奏が掲載。ヤマハ演奏支援アプリ≪ふこうよアンサンブル~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~≫(響け!ユーフォニアム)開発に演奏提供。2017年2月に同アプリVer.2と書籍第二弾のリリース記念イベントにてオープニングアクトとユーフォニアム独奏によるデモンストレーションを担当。YAMAHA・AI合奏システムと国際イベント「デジタルコンテンツエキスポ2017」で共演。地元・入間市民吹奏楽団の定期演奏会にソリストとして出演。2018年吹奏楽雑誌「Wind-i mini vol.39」巻頭インタビュー掲載。ユーフォニアムなどの金管楽器の個人指導から吹奏楽指導、楽器講習会講師もおこなっており、メディア出演も多く、希少価値の高い古楽器演奏者としても話題を呼んでいる。ASKS Windsより編曲譜出版中。 Ensemble PETS、小江戸ウインドアンサンブル、moiphics、ですカル!各メンバー。




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